正規表現で置換したルビタグは「<cr:1><crstr:ルビ文字>親文字<cr:><crstr:>」でルビタグの意味は
<cr:1> ルビの使用をオン
<crstr:> ルビ文字を指定
<cr:> ルビの使用をオフ
<crstr:> ルビ文字の指定をオフ
となっている。後ろの2つはリセット用のタグである。
ここに<cMojiRuby:1>というタグを追加するとモノルビとなる。<cMojiRuby:0>とするとグループルビになる。実際の書籍では文字によってモノルビになったりグループルビになったりするが、それをタグで指定するにはルビ文字に対して個別に指定が必要となる。
ルビを漢字1つ1つに対して中付きにしたい場合は、テキストのルビ文字を分割するしかない。
手拭《てぬぐい》
というルビ指定があれば
手《て》手拭《ぬぐい》
とテキスト上で変換する。そうすればモノルビとして指定できる。ただしそれは漢字すべてをチェックして手動で行うしかない。その場合は、編集したルビテキストを拾いだして複数で一括置換するしかない。なぜならInDesignはテキストを検索置換するとき、ルビ文字を含めて置換するというインテリジェンスな機能をオプションで持っていないからである。
手拭《てぬぐい》 → 手《て》手拭《ぬぐい》
という変換テーブルを先に作成しておき、まとめて置換する。ルビの指定が決められている場合は、その方法で作成するしかないだろう。中付きにする場合は親文字を調整が必要だ。
*左からモノルビ中付きで親文字を調整。真ん中は肩付きでグループルビ。右は肩付きにしてモノルビにした。講談社の底本では親文字内にルビが収まる場合はルビ文字をつめて真ん中になる。つまり実質的には肩付きではグループルビで処理する方が早い。「手拭」に《てふき》というルビを適用すると、《て ふき》とルヒが割り当てられる。
本来はモノルビで親字に対応してルビを振っていくのがいいのだろうが、実際に読むときにそれを気にするのかというと、そんなことはない。最初に『宮本武蔵(吉川英治著)』のテキストをレイアウトしていて、仕上がりの参考に底本も買った。「吉川英治歴史時代文庫」は基本はモノルビ肩付きだが、ルビ文字が長い場合は肩付きのままグループルビになる。この場合は、グループルビにしてルビ内に全角スペースを挿入する方が早い。その場合も独自に変換テーブルを作成するしかない。頻度の高いルビはテキストで置換し、それ以外はInDesign上で手動で行うのである。
一般的なルビは肩付きにしても、漢字に当て字を振っている場合は、両端揃えにするしかない。ルビタグでも両端揃えの指定は可能だが、テキスト上に文字スタイルを指定しておくほうが扱いやすい。『宮本武蔵』全八巻では両端揃えのルビだけ抜き出して複数置換を行った。漢字二文字で当て字ルビが四文字だったら、両端揃えの必要はない。両端揃えが必要なルビだけ拾わなければならない。
『宮本武蔵』では
不審 いぶか
交際 つきあ
彼奴 あいつ
彼方 あなた
先刻 さっき
戦慄 ふるい
此方 こなた
大和 やまと
怪訝 いぶか
真実 ほんと
というような感じでルビが振ってある。漢字の送り仮名ではなく、熟語に漢字の読みを当てている。『宮本武蔵』全八巻で拾い上げた両端揃えのルビは215個だった。このタブ区切り文字列を正規変換で文字スタイルを含めたInDesignタグに変換する。
不審《いぶか》
↓
<cr:1><crstr:いぶか>不審<cr:><crstr:>
↓
<cstyle:ルビ両端揃え><cr:1><crstr:いぶか>不審<cr:><crstr:><cstyle:>
とりあえずすべてのルビをルビタグに変換して、該当する文字列だけに<cstyle:ルビ両端揃え>の文字スタイルを指定するタグを追加した。InDesign上に「ルビ両端揃え」という文字スタイルを用意しておくと、その文字スタイルが適用される。
変換テーブルで変換するのは簡単だ。「不審 タブ いぶか」でリストを作成しておき正規変換すれば、簡単に「<cstyle:ルビ両端揃え><cr:1><crstr:いぶか>不審<cr:><crstr:><cstyle:>」に変換できる。あとはそのテキストをJeditで読み込み一括で置換するだけ。大変なのは変換テーブルを作成する手間である。それで効率性を考えると、テキストのルビをそのまま使うしか選択肢はないと思い当たった。
青空文庫のルビは基本的にグループルビになっている。そのためもっとも使いやすいのは「1-2-1JIS」のルビだろう。本文は段落スタイルを適用するとして、ルビの設定では
ルビの位置と間隔
ルビのフォントとサイズ
ルビが親文字より長い時の調整
が必要になる。[ルビの位置と間隔]ではルビの基本的な設定を行う。[種類]を「グループルビ」にし、[揃え]を「1-2-1(JIS)ルール」とする。[種類]を「モノルビ」にすると最初の親文字だけにルビ文字が割り当てられる
*[ルビの位置と間隔]の設定
[ルビのフォントとサイズ]ではデフォルトのままの設定でたいていは問題ない。ルビのサイズは親文字と同じフォントが使われて、親文字の半分のサイズが設定される。ただし[OpenType Proのルビ字形を使用]はオフにする。ここをオンにするとフォントによっては中黒などの記号類が異様に大きく表示されてしまう。
*[ルビのフォントとサイズ]の設定。[OpenType Proのルビ字形を使用]はデフォルトではオンになっている。
[ルビが親文字より長い時の調整]では[文字かけ処理]と[親文字間の調整]を指定する。[文字かけ処理]は「ルビ1文字分」程度、[親文字間の調整]は「1-2-1アキ」を指定する。[文字かけ処理]では文字かけをしなくてもかまわない。文字かけしないときは親文字同士や親文字と前後の文字の間隔が調整される。
*[ルビが親文字より長い時の調整]
これで本文に指定されたルビは段落スタイルの設定でレイアウトされる。ルビ設定を変更したいときは、段落スタイルのルビ設定を編集すればよい。見出しなども同じ設定にしておこう。



