手元にいくつかの青空文庫ビューワーアプリを持っているが、作家別にしても作品別にしても探すのはけっこう面倒である。青空文庫のビューワーであるよりも、漱石であれば漱石だけ、太宰なら太宰だけの作品を集めたビューワーの方が使いやすいのではないかと思う。
青空文庫ビューワーアプリはテキスト中の記号を自動で処理するので、完全に処理はできない。たとえば作字が必要なものは無理である。漱石の「虞美人草」にはいくつか作字が必要なものがある。
※[#「にんべん+孱」、51-3]
※[#「にんべん+愁」、51-3]
※[#「耳+吾」、56-1]
※[#「甘+舌」、72-14]
耳偏に吾という文字、甘偏に舌という文字はユニコードにもないようで、ここでは底本のページ数と行数が指定されている。これを自動で変換するアプリがあれば極めて優れものだが、変換できているものもあれば出来ていないものもある。
*「忽」の下の文字が作字が必要な文字。上が特殊な文字を表示できないViewer、※に置き換えられている。下が指定通りに表示しているViewerアプリ。有料と無料の違い?
青空文庫ビューワーアプリは、青空文庫からテキストデータかXHTMLデータをダウンロードしてそのまま自動的に変換してアプリ内に青空文庫の作品を表示している。青空文庫内の記号部分をプログラムで処理してルビや外字などを変換していることになる。
InDesignでもInDesignタグを使えば同じように自動化しテキストを貼り込めるのではないかと思った。InDesignとエディタだけでも出来そうな気がする。以前はシコシコとInDesign上でルビを変換していたことがあるが、さすがに大変だった。キーボードのショートカットでルビ入力し続けているだけで、腱鞘炎になってしまったのである。さすがにこれでは話にならない。できれば1作品1時間以内に処理したい。そのくらいで出来なければ、アプリで青空文庫を配信する意味がないではないか。
しかし青空文庫テキストをInDesignタグに変換する方法をわかりやすく解説したサイトは見つからなかった。断片的な記事はあっても、ノウハウをまとめて解説してあるサイトを見つけることはできなかった。
そういうサイトがないのは
1、ノウハウがあれば簡単にできる
2、ノウハウを確立するのが難しい
3、そもそも需要がない
ということが考えられる。青空文庫を簡単にInDesignでレイアウトする仕組みはあまり必要ではないし、必要としても組版に携わっている一部のユーザーのみが必要するスキルなので、需要はそれほど多くない可能性はある。何れにしても断片的な情報をたよりに自分でやるしかない。使用するアプリは
InDesign CS6
Jedit 1.4.7
である。
青空文庫テキストを簡単にInDesignタグに変換できれば、それ以外の応用はそれほど難しくはないのではないか。もしエディタの検索置換機能で記号で指定された部分をすべてInDesignタグに変換する仕組みを身につければInDesignは極めて便利になる。
この数ヶ月、いくつもの作品をInDesignでレイアウトして少しずつInDesignタグに置き換えていった。今のところ、漢文の返り点は自動化できないが、それ以外はたいていはInDesignタグに変換できるようになった。ルビと傍点、第3第4水準以外の繁体字も含めてユニコードの漢字もルビを乗せたまま取り込むことが出来るようになった。テキストをある程度手動で整形して、いくつもの検索置換を行い、保存したファイルをInDesignで読み込むと最終チェックをするだけでレイアウトが完成する。これで1時間以内でレイアウトが出来上がるのである。次回から具体的に紹介していきたい。



